インターネットガバナンス・タスクフォース Internet Governance Task Force of Japan

WGIG準備会合、ジュネーブで開催 (9月21日)

インターネットガバナンスについて検討する国連のワーキンググループ、WGIGの準備会合は、昨日、20日からジュネーブの国連本部(パレ・デ・ナシオン)で開催されました。
 WGIG準備会合は、約300名が参加、21日の午後6時まで、2日間の日程で開催、その結果は議長のニティン・デサイ国連事務総長特別補佐と、マーカス・クマーWGIG事務局長によって、翌週、コフィ・アナン事務総長に報告される予定となっています。

 初日は、エジプトの通信・IT大臣、タレク・カメル氏の基調講演で始まり、最初のパネルで、チュニジアのインターネット・エージェンシーのCEO,Drフェリエル.ベジ氏と、中国の情報産業省の顧問で、インターネット・ソサエティ・チャイナの会長でもある、フー・チエン氏が、公共政策、政府側の視点から発表しました。二人とも、それぞれICANN会議のホストを務めたことがある人々です。

 ベジ氏は、インターネットガバナンスの議論には、以下の視点が重要であると述べました。
 ・グローバルな視点 インターネットによるコミュニケーション、ルーティング構造、接続コ
  ストは、インターネットを、国境とは別に行われる。
 ・エンド・ツー・エンドの視点 多くのインテリジェンスは、エッジにある
 ・オープンスタンダード  インターネットは、オープンな標準でだれでも利用できる
 ただし、インターネットは、単一ではなく、多くのヘテロジニアスな要素が複合してできているもので、・政府は官僚的なアプローチだとみるし、途上国は、ITUがもっと関与すべきだと考え、・民間、市民社会はそう考えていないと指摘し、この視点の違いが、WGIGの設立を導いた。インターネットの発展、社会経済発展のツールとなることは保証すべきだ。
 なお、「ICANNのALACの取り組みと同じように、世界中の人々の参加をWGIGも求める必要がある」と述べたのが、驚きでした。

 中国のフー氏は、インターネットの発展に伴い、そのガバナンスも政府が主導すべき段階になったという点を強調しましたが、民間、市民社会の参加も重要と述べました。
 フー氏の発言は、以下が概要です。
「インターネットの発展は、人々のニーズに応じて進められる。とくに最近では、インターネットは政府の関与を必要とするように発展してきた。当初の学術、軍事ネットワークから、あらゆる分野に不可欠な要素となった。インターネットは公共の利益が、かかっている、公共インフラになった。人々に生活への利便性を提供している。
 インターネットが、サイバークライム、著作権の侵害、スパム、有害なコンテンツを引き起こしているのも意実だ。社会秩序を妨害するものもある。したがって、公共機関、政府は、必要なアクションを行う必要がある。政府は、民間、市民社会と協力してインターネットの発展に協調すべきだ。
 インターネットガバナンスのあり方もまた変化すべきだ。最初は、ガバナンスは、自主ガバナンス、ボトムアップで、当時のニーズに合っていた。しかし、純粋な自主ガバナンスは、もはや十分ではない。
 政府には、インターネットガバナンスで果たすべき重要な役割がある。サミットの第一フェーズで、政府は重要な役割があると合意した。インターネット資源の国内の管理は、政府の主権下にあると合意した。
 われわれは、市民社会や民間の組織ではなく、政府が、公共政策において主導権をもつべきであると考える。政府がリーダーシップをもつべきで、それによって安全なインターネットが発展する。それは政府が支配的な統制を行うということではない。順調な発展ができ、民間、市民社会が利用の発展ができるように、関与するのだ。宗教、文化、言語の多様性などは十分に尊重する。政府の主導のもと、民間、市民社会が関与する新しいパターンのガバナンスが必要である。」

 続いて、議論を構成するために、として、ジュネーブの貿易・持続的成長のための国際センターの研究者のビル・ドレイク氏、DIPLO財団のジョバン・クルバリジャ氏、シラキュース大学のミルトン・ミューラー教授が、インターネット・ガバナンス問題をどうとらえるべきかについて、それぞれ発表を行いました。
 午後は、一般討論で、自由発言が続き、IGTFも、会津事務局長が、事前に提出した意見書の前半、スコープと原理について発表をしました。
 2日目の21日は、まず、パネルから始まり、ブラジル政府の代表に続いて、日本政府の代表、坂巻政明総務省データ課長が発言、WGIGの構成を中心に、日本政府の意見書のサマリー、とくに日本のインターネット、ブロードバンドの発展を例にしつつ述べました。その後、ISOCのリン・セントアマーCEO、WSIS市民社会コーカス代表のジャネット・ホフマン氏が、WGIGの構成を中心に発表しました。
 その後は、一般討論で、各国政府、国際機関、市民社会、民間などの代表が次々に発言しました。そのなかで、モーリシャリス政府の代表が、IGTFの昨日の発表の一部、以下をそのまま引用し、これを全面的に支持します、と発言しました。
 引用されたのは、日本語では以下の部分です。

「WSISジュネーブ文書に記された目的を達成するために、WGは以下の任務を遂行すべきと考えます。
 a) インターネットの運用および利用において世界的な規模で検討する必要があると思
  われる課題の特定
 b) 基礎となる事実、参考となるデータや情報の収集
 c) すでに行われている活動の実態調査と、何が機能し、もしくは機能していないかに
  ついての評価およびその原因についての分析」

 討論はさらに続きましたが、とくに特定の「結論」を出すのではなく、基本的には「言い放し」で。そのなかで、全体の合意が認められるのは、政府に加えて、民間企業、市民社会の参加が重要だということです。ただし、中国やブラジルなどの政府は、あくまで主導権は政府がとるべきだということを一貫して主張しています。
 もちろん、これに対して、民間の役割の重要性を強調し、現在の仕組みがうまくいっているところは、いじるべきではないという主張も、繰り返されています。
 2日間の討議は、最後に議長のデサイ氏のまとめで、予定より早く、午後5時半に終了しmさいた。
 デサイ氏は主な合意点をサマリーで述べつつ、合意できなかった点も、必ず解決が見つかると、楽観的にまとめました。

 詳しい報告は、帰国後に行う予定です。   

                          (9月21日17時 ジュネーブにて 会津泉)